この記事の結論
- 小売業が使える国の制度は、設備投資(ものづくり補助金)、販路開拓(小規模事業者持続化補助金)、賃上げ(業務改善助成金)、人材(厚生労働省の助成金)などに整理できます。
- 小売業の中小企業の基準は「資本金5千万円以下または従業員50人以下」、小規模事業者の基準は商業で「従業員5人以下」と、制度によって使われる数字が違います。
- 募集中の制度は日々入れ替わるため、種類を押さえたうえで、業種別・目的別の一覧で最新の状態を確認するのが効率的です。
小売業が使える補助金・助成金は何がありますか?
小売業の取組に近い国の制度を、目的別に並べます。上の4つは、Jグランツの掲載で卸売業・小売業が対象業種に含まれる制度です。厚生労働省の助成金は、業種を問わず使えるものを紹介します。
| 目的 | 制度 | 公式情報から分かること |
|---|---|---|
| 設備投資・サービス開発 | ものづくり補助金 | 商業・サービスも対象。第21次締切の補助上限額は4,000万円、補助率は1/2もしくは2/3 |
| 販路開拓(共同の取組) | 小規模事業者持続化補助金<共同・協業型> | 地域振興等機関が5者以上の参画事業者の販路開拓を支援。小規模事業者を出展対象にした展示会・商談会・販売会の開催も対象に含まれる |
| 事業承継・M&A | 事業承継・M&A補助金 | 16次公募の受付は2026年10月2日〜11月6日 |
| 賃上げ | 業務改善助成金 | 事業場内最低賃金を引き上げ、設備投資等を行う |
| パート・契約社員の処遇 | キャリアアップ助成金 | 契約社員・パート・派遣社員などを正社員化する、賃金規定等を改定するなど |
小売業の「中小企業」「小規模事業者」の基準は?
制度によって、小売業の規模を測るものさしが違います。事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の掲載文では、次のとおりです。
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 小売業の中小企業者等 | 資本金5千万円以下、または常時使用する従業員50人以下 |
| 卸売業の中小企業者等 | 資本金1億円以下、または常時使用する従業員100人以下 |
| 小規模事業者等(商業) | 従業員5人以下の会社および個人事業主 |
小規模事業者等でいう「商業」は、卸売業と小売業を指します。なお、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は従業員20人以下と別に定められています。自社がどの区分に当てはまるかは、申請する制度の公募要領で確認してください。
店舗スタッフの処遇に使える厚生労働省の助成金は?
厚労省の助成金一覧から、店舗運営の悩みに近いコースを選びました。
| 悩み | 助成金(コース) | 内容 |
|---|---|---|
| スタッフの定着 | 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) | 雇用管理制度や業務負担軽減機器等の導入を通じて、職場定着を支援する |
| 男性の育児休業 | 両立支援等助成金(出生時両立支援コース) | 中小企業が男性の育児休業取得推進に取り組む |
| 育休取得者の業務カバー | 両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース) | 育児休業取得者などの業務を代替する体制整備を行う |
| ベテランの活躍 | 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース) | 65歳以上への定年引き上げ等を実施する |
| 外国人スタッフ | 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 就業規則・社内マニュアル等の多言語化などで職場定着を図る |
| 退職金の準備 | 一般の中小企業退職金共済制度に係る掛金助成 | 新たに中小企業退職金共済制度に加入する被共済者の掛金月額を増額する |
いずれも要件と申請方法は制度ごとに異なります。計画の提出が先に必要なものもあるため、取組を始める前に公式ページを確認してください。
募集中の制度はどこで確認しますか?
募集中の制度は日々入れ替わります。最新の状態は次のページで確認してください。
- 卸売・小売の補助金一覧:卸売業・小売業が対象に含まれる募集中の制度
- 販路拡大・海外展開、設備投資・IT導入、雇用・職場環境:目的から絞り込み
- 小規模事業者向けの補助金、個人事業主・フリーランス向けの補助金:規模・形態から絞り込み
- 都道府県から探す:自治体の独自制度
どの制度も、申請すれば必ず採択・支給されるものではありません。申請の流れは補助金申請の流れで確認できます。
出典:
この記事で紹介した補助金
よくある質問
個人経営の小さな店でも使えますか?
使える制度があります。事業承継・M&A補助金は中小企業者と個人事業主が対象で、小規模事業者持続化補助金の創業型は日本国内に居住する個人も対象です。ただし制度ごとに条件が異なるため、公募要領で確認してください。
どの制度から検討すればよいですか?
設備投資や新サービスの開発ならものづくり補助金、賃上げと設備投資の組み合わせなら業務改善助成金、パート・契約社員の正社員化ならキャリアアップ助成金が候補です。まず自社の目的を決めてください。
パートやアルバイトの時給を上げたいときは?
事業場内で最も低い賃金を引き上げ、あわせて設備投資を行う業務改善助成金が候補になります。パートやアルバイトを正社員にする取組なら、キャリアアップ助成金の正社員化コースがあります。
卸売業と小売業で基準は違いますか?
違います。事業承継・M&A補助金の専門家活用枠では、卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業は資本金5千万円以下または従業員50人以下と定められています。